NHKのドキュメント72時間が好きだ。
まず、ラストの挿入歌がいい。最初に挙げるべき点ではないかもしれないが。内容うんぬんとかじゃない。この番組を知ってはじめの頃は、半ばこの歌を聞くために見ていたところすらある。
この番組には、辛い経験をした人、その最中にある人なんかがけっこう出てくる。
こういうドキュメンタリーって、自分よりも大変な人生を送っている人の生活を切り取って覗いて観察して、それで、ああかわいそうだ、自分はこの人たちよりはましだ、とか思ってしまうもので、スラムツーリズム的な側面がある。
本来そういう消費のしかたは醜悪だ。
それでも、そこに出てくる人たちの、見ず知らずの他人であるところの取材クルーにぽろっと大事なことがつい口をついて出てしまったような瞬間や、どこかあっけらかんと語るような姿に目が離せなくなる。
何よりも胸を打たれるのは、自分以外の誰にでも、自分と同じように、それぞれの人生があるということがはっきりとわかることだ。
そんなことは当たり前だと言われるかもしれないが、このことを真に意識して日々生活することはとても難しい。
真正面からの取材ではなく、ある特定のテーマを切り口に、深追いすることなく見せている。定点取材がそれを可能にしている。
それが視聴者としても、距離が近すぎなくてしんどくないというか、ちょうどいいのだ。
ついでに、ナレーションを誰が担当しているかを予想するのも、密かな楽しみだ。けっこう有名な俳優であることが多い。
よくドラマなどで演技を目にする俳優のナレーションに想像とギャップがあると、その俳優の新しい顔を見たようで嬉しくなる。
最近だと勝地涼のナレーションがとてもよかった。声が格好よかった。テンポも早めなんだけど、それも悪くなかった。
いまいちおしの番組。