お金、将来、今

最近貯金ができている。

毎月の予算を決めてひたすら出費を記録する。するとお金の流れが見えるので、無駄遣いがだいぶ減る。方法はこれに尽きる。

私の場合は洋服に使うお金がかなり多かったみたいだ。
必要なものを買うというよりは、欲しいと思ったものは欲しさの程度を問わず買うような感じだった。衝動買いそのもの。
今は必要なもの、本当に欲しいものを予算の範囲内で買うようにしている。この予算の範囲内というのが、当たり前のようで意外と難しいのだが。

断捨離も同時にやっているけど、相乗効果があるみたい。断捨離をすると、本当に欲しいものや必要なものが見えてくるからだ。そのことについてはまた別の機会に書く。

そんなこんなで貯金ができているというのに出てきてしまった悩みがある。

それはどういうことかというと、貯金に精を出すと、その反動で、お金を貯めるために今やりたいことや欲しいものを我慢して本当にいいのか?という不安が出てくるということなのだ。

旅行、美味しいものを食べること、新しい体験をすること、部屋の居心地を良くすること…。今やらなければ人生損をしているのではないか?っていうか貯金てそんなに素晴らしいものなのか?今の楽しさを犠牲にしてまでやらなければいけないことなのか?みたいな疑念が次々に湧いてくる。

お金がない時には将来や老後に対する不安を抱えて、お金が貯まってきたらきたでこういう別の不安が生まれる。私は本当に小物だな。

 

セネカは生がいかに短いか、今を生きることがいかに大切かを説いた。

私たちは日々の生活に余裕がなくてつい将来の不安へ目を向けてしまいがちだけれど、それは限られた貴重な人生の時間の浪費なのだ。

 

お金が溜められていなかった時は、将来や老後のことが気になっていた。しかしお金がある程度貯まると「今」に目を向けられるようになった。なんだかちょっと面白い。

 

 

貯金は淡々とこなしつつ、今の楽しみと向き合う。
そのバランスを欠かないようにしたい。

 

投資のこと

投資を始めてから2年が経った。

コロナ禍真っ只中の2年前の今頃、株価がめちゃくちゃ下がっていた。
素人ながら今が買い時なんじゃね?とか考えた。

闇雲に始めるよりまずは教科書的なものを、と横山光昭氏の本を何冊か手に取った。

この人は私が大好きだったNHKの番組「あさイチ」(半ば崇拝していた。有働さんとイノッチのペアがよかった)に何度か出ていたので無条件に信用している。

結果つみたてNISAとiDeCoを始めてみることにした。

素人はインデックス投資一択らしい。

インデックスとは、証券市場全体や特定の証券グループでの株価の指標で、景気に連動するらしい。

過去数十年を振り返って世界やアメリカの経済市場は拡大し続けているので、今後も経済が成長していくことを信じるのであれば、これらの市場に連動するインデックスファンドに投資しておけ、ということだ。(日本の経済が今後成長していくかには、個人的には大いに疑問があるけど…。とりあえず分散投資の名目で日本市場のインデックスにも投資してる)

つみたてNISAは楽天市場でカード決済もできて始めるのも割と簡単だった気がするけど、iDeCoはとにかく手続きがめんどくさすぎてやろうと思ってから実際始めるまでにおよそ1年半の月日を費やしてしまった。投資において重要とされる時間というものをかなり無駄にした。でも実際かなりめんどくさかったのでやろうと思ってる人はバッとやってバッと終わらせたほうがいい。

この2年の間につみたてNISA、iDeCo投資信託の積み立てと一通りやってみたあと米国高配当ETFとかにも手を出していたが、米国ETFは買うのをやめた。(最近のスーパー円安を目の当たりにして少し後悔している)

そもそもつみたてNISAの投資信託と同じ指標のETFを買っていた(VTIとかVOOとか)のが釈然としなかった。分散投資できていないのが気になっていた。かといって他に投資したいファンドもない。

そんなある日誰かがTwitterで、将来の資産形成のためなら配当が出ず利益が再投資に回される投資信託の方が効率がいいと言っているのを見かけて目が覚めた。

別に私配当欲しくないや。

旅行や欲しいもののためのお金とか、今使いたい金額は別に確保しているので。

FIRE界隈のあれこれにだいぶ毒されていた。
仕事もゆるいしまだまだ辞めなくていいかなと思っているので、とりあえず給与というキャッシュフローを頼りにしていればいいのだ。

そこからはとにかく投資信託一本でいこうと決めた。

楽天証券楽天カードで積み立てている月5万円の他に、SBI証券でも去年?から三井住友カード投資信託の積み立てができるようになったらしいので早速導入した。
三井住友カード(NL)、広告の謳い文句通り本当に申し込みから5分くらいで審査降りてすごかった。

www.smbc.co.jp


なので今の投資状況はこんな感じ。

iDeCo最大額
・つみたてNISA 月33,333円
投資信託 月66,667円

 

老後資金を貯めるのに躍起になって今を楽しめないのはそれはそれで問題だから、今使いたいお金とのバランスは慎重にとっていきたい。我慢しすぎることのないように。

16時間断食

友人がやっていると聞いて、興味を持って自分も試してみた。

好きな言葉は健康のためなら死ねる。

自分の場合は朝昼がっつり食べて夜を抜くというスタイル。

毎日厳密に実践はしていなくて、今日はむり!お腹すいた!食べたい!というときには制限をゆるやかにしたりして無理のない範囲でやっている。

16時間断食のやり方とかオートファジーのメカニズムはこれまで色々な人が解説してるので割愛して、これまで続けてみてよかった点、悪かった点、こうしたらもっとよいのではという課題などをまとめてみる。

 

よかった点

  • ほんとに便秘がなおった
  • 集中力がめちゃくちゃ続く謎の時間が訪れた

悪かった点

  • ひもじい
  • 1日分の栄養とカロリーを2食で摂るのが困難
  • 別に食費は浮かない

課題

 

 

まずはよかった点から。

 

ほんとに便秘がなおった! 

同時に食事改善も行なって野菜も摂るように意識してるので食物繊維が作用してるのか、定かではない

集中力がめちゃくちゃ続く謎の時間が訪れた

これは某メンタリストも言ってたらしく彼と主張を同にするのは嫌なのだが、夕飯も間食も抜いてめちゃくちゃ残業してたとき、空腹が峠を越えて頭が冴えて仕事がめちゃくちゃ進むという謎の万能感ある時間が訪れたことがある。

これにはまだ一度しか遭遇していないので、発生条件とかはよくわからない。

でもオートファジーの効果なのかもしれないと漠然と思ったのだった。

 

悪かった点はこんな感じ。

 

ひもじい

まあ予想できたことではある。

素焼きナッツや無糖ヨーグルト、生野菜などは食べていいらしいので自分に甘い私はスティック野菜(マヨ付き)やoikos(フルーツソース入ってる)で微妙にズルをしながらやりすごすことにした。


1日分の栄養とカロリーを2食で摂るのが困難

あすけんもやってるのだが、1日2食にすると1日の総摂取カロリーが足りないとかでとんでもなく低い点数を叩き出したりする。あいつらカロリーコントロールにうるさすぎる。

そして諸々の栄養素も不足しがち。困ったらプロテイン飲んでる。


別に食費は浮かない

前述のとおり限られた食事の機会で十分な栄養を摂らなければいけないので、栄養偏りまくったお菓子とか栄養スカスカのもやしとかを食べてる余裕がない。

必然的に体に良さそうな色の濃い野菜とか魚とか果物とかを買い求めるようになるが、たいていそういう食材は高い。そういう食材が当たり前に出てくる実家ってマジでありがたかったんだな。

なので1食減らしてるのに食費は以前と同等くらいにかかる。

 

 

課題

栄養についてもっと知る必要がある。現状なんとなくのでたとこ勝負であすけん入力して一喜一憂してる感じだけど、理想としては食事を選ぶ段階で食材の栄養素を理解して1日に必要な栄養とかから逆算して選ぶほうがいいだろう。

 

まあ今はこんな感じでー。

 

ルイボスティー

夏の水分補給。

緑茶、麦茶、紅茶…

世の中にお茶といえばたくさんの種類があるけれど、最近ルイボスティーを飲んでいる。

個人的にいいと思ったルイボスティーの特徴を残しておく。

 

ノンカフェイン

これは半ば必須の項目。

朝も昼も夜も関係なく夏の水分補給としてがぶがぶ飲みたいので、1日の摂取量や摂取タイミングを気にしなくてもいいノンカフェインは気に入っている。

体を冷やさない

オフィスで麦茶を飲むと、体の冷えを感じる。

外出時や暑い室内では麦茶を飲むのはいいとしても、冷房の効いたオフィスでがぶ飲みするには体を冷やさないお茶のほうがよさそう。

その点、ルイボスティー は血行促進作用があり体を温めるタイプのお茶なので、冷え対策には良さそうだ。

ステインがつきにくい

ルイボスティー ってけっこう色が濃いけど、歯の着色汚れの原因となるタンニンは意外にも緑茶などと比べて少ないのだとか。

これならステインを気にせずがぶ飲みできる。

おいしい

麦茶の香ばしさってどうにも苦手。苦味に感じてしまう。

ルイボスティーは華やかな香りで甘さもあっておいしい。

最初はクセの強い風味と感じたが、今は飲み慣れたのか好きな風味だ。

ちなみに飲み初めの頃や久々に飲むときとか、舌がピリピリする。

パイナップルを食べたときみたいな感覚で、たぶんアレルギーなのだと思うけど、しばらく飲み続けていると気にならなくなる。不思議。

あと、味変ができるのも面白い。

牛乳を入れてルイボスミルクティーにしたり、ジャムを入れてフルーツティー風にしたり。

 

ほかにもいろいろある

抗酸化作用とか、いろいろあるらしいけれど、いま自分が意識的に享受しているメリットはこんな感じ。 

【買った】Apple Watch SE

コロナ禍で飲み会もないしお金が貯まる〜

とか言ってた同僚、適当に相槌したけど自分は全然そんなことないです。

相変わらず物欲はあるし何ならコロナ自粛のストレスのせいか増してすらいるので、コロナ以前からの家計の収支トントンの状況は変わらず。

そんな私が最近買ってよかったもの。

言わずと知れたスマートウォッチの雄Apple Watch。1ヶ月ほど前に購入。

 

購入するまでに検討した他のスマートウォッチの特徴とその違いなども合わせて、使用した感想を残しておく。

 

 

 

 

購入した目的

睡眠管理

睡眠管理を徹底したかったのが一番の目的。

去年あたりから仕事が忙しくて5、6時間睡眠が続いていたのだが、どうにも能率が悪い気がする。

そこで、日中の仕事の能率が上がらないのは、睡眠不足による脳の稼働効率の低下が原因であるという仮説を立てた。

仕事が終わらず夜遅くまで残業して、睡眠時間を削って能率が下がってまた残業して…という負のスパイラルから抜け出したかった。

自分としては6時間睡眠くらいで十分だと思っていたのだけど、世の中にはそうではないという意見がけっこうたくさんある。

toyokeizai.net

まずは強制的に8時間くらい睡眠時間を確保して、仕事の能率が上がるかどうか試してみようと考えた。

そのために欠かせないのが、正確に睡眠時間を記録すること。

卵が先か鶏が先かという感じだけど、結果的には、睡眠時間の記録が就寝時間の見直しにつながり、ひいては効率的に早く仕事を切り上げられるようになった。

iPhone(アイフォンじゃなくてアイフォーンと打たないと変換予測に出てこないのが癪)に搭載の「ヘルスケア」というアプリにも睡眠管理機能があるのだけど、そのアバウトさがいつも気になっていたところ。

あれってiPhoneを触らなくなったタイミングから睡眠時間をカウントしてるようだけど、別に携帯触らない=就寝じゃないと思う。

ベッドに入ったあと本を読んだりする自分にとっては、そのあたりのタイムラグ、つまり体感睡眠時間よりも多めに睡眠時間が計測されているのが気になっていた。

 座りすぎ注意喚起

スマートウォッチを調べていくうちに、機能のひとつとして長時間座っているとそのことをお知らせしてくれるものがあると知った。

マイナーな機能かもしれないが、デスクワークで座りすぎによる体調の不調を実感してもいたので、この機能はぜひおさえておきたかった。

 

座りすぎに関する問題はスポーツ庁も警鐘を鳴らしてる。

sports.go.jp

 

検討したスマートウォッチ

スマートウォッチ・ウェアラブル端末種類多すぎる。

幸い自分は初めてのスマートウォッチでやりたいこともそこまで多くなかったので、最低限譲れない機能と、毎日着けるものということでデザインの好みで、FitbitとApple Watchに絞った。

Fitbitで検討していたモデルはこれ。 

 

シンプルなデザインを好む自分には、バンド部分の菱形の加工が少し気になる。

あと、座りすぎ注意喚起機能がない。

値段も2万円弱。もう少し出せばApple Watchが手に入るという誘惑も大きかった。

 

Apple Watch SEなら意外といい感じで安い。

税込み32,780円。

www.apple.com

 

SEかseries6かという選択肢もあったが、series6にあってSEにない主な機能といえば

  • 常時ディスプレイ表示ができる
  • 血中酸素が測れる
  • 心電図がとれる
  • アルミニウム以外にもステンレススチールとチタニウムのボディが選べる

といったところで、血中酸素も心電図も管理できなそうな自分にはSEでいいと判断。

この機能の差で1.5万以上も違うのは大きい。

SEでも材質をステンレスにしたり、ベルトをステンレスのやつにしたりするとお値段が上乗せされていくが、強い心で最安の組み合わせを選択。

 

Apple Watch SE 使ってみた感想

めちゃくちゃいい。

Apple Watchそのもの自体のブランド性も評価に多分に影響してるけど、それを差し引いてもとても満足。

自分が期待していた機能はもちろん、予期していなかったメリットもあった。

睡眠管理が正確にできる

肝心の睡眠については、Apple Watchを使用してもiPhoneデフォルトのアプリだと正確に記録されないので、私はAutoSleepというアプリを入れている。

AutoSleep Watchを使って睡眠を自動で追跡します

AutoSleep Watchを使って睡眠を自動で追跡します

  • Tantsissa
  • ヘルスケア/フィットネス
  • ¥490

apps.apple.com

 

AutoSleepは睡眠の分析がとても細かい。デフォルトのアプリの比じゃない。

睡眠の中でも全体の就寝時間と、その中でもきちんと眠れている睡眠時間と、さらにその中でもレム睡眠と言われる深い睡眠の時間まで個別に評価してくれる。

時間別での分析もあり、どの時間に深く眠れているかということも一目瞭然。

ある運動した日の夜、疲れて一度も起きないくらい深く眠った実感があったのですが、AutoSleepではその実感にかなり近い睡眠の評価をしてくれていた。 

座りすぎを注意される

1時間くらい座っていると振動と音で知らせてくれる。

座っているか立っているかの判定も正確。

立ち上がってしばらく歩いたりすると許してくれる。

ムーブ、エクササイズ、スタンドリング

日にどれくらい活動したか、運動したか、立ち上がったかというのをそれぞれムーブ、エクササイズ、スタンドという指標に分けて、目標とその達成度が毎日表示される。

ムーブリングが達成できてないから退勤後は一駅分歩こうかな、とか、エスカレーターじゃなく階段を使ってエクササイズリングの足しにしておこうかな、とか、運動へのちょっとしたモチベーションになる。

ちなみにやる気なくいつものペースで歩くとムーブリングの方にカウント、ちょっと早歩きだとエクササイズリングの方にカウントされる。

目標も自分の普段の活動量に合わせて無理なくちょうどいいラインを設定してくれるので、何も考えなくても運動に集中できて便利。

「見える」化ってやっぱりモチベーションになる。 

なんだかんだいって通知が便利

購入前はノーマークだったのが、通知機能。電話もLINEもすぐ気づける。

LINEやSMSの簡単な返信(絵文字だけとか)もできてしまう。

よく使う機能をカスタマイズしてホーム画面に設定できる

タイマーと天気予報機能をよく使用。

意外とスマホで使用することが多かったこれらの機能を、Apple Watchで簡単に使用できていい。特にタイマー機能は仮眠をとる時や料理をする時に役立つ。

電子決済が便利

落としたときとかが怖いので導入しないけど、クレジットカードや電子マネー決済ができるのはすごく便利。 

 

ファッションにおける時計コーディネート問題が終わった

服に合う時計を複数持たなくてよくなった。オフィスでもカジュアルでもApple Watch一本。時計を新たに買わなくなったのも経済的。

 

意外な落とし穴

【大前提】iPhone持っていないと使えない

でも、なんだかんだApple製品の統一的なUIデザインが好き。まんまと囲い込まれている。

電池が持たない

1日が限界。厳密にいうと1日で半分くらい電池が減るので、頑張れば2日くらいいけるかもだが、電池がなくなってしまわないかとそわそわする。

それならお風呂の間とか、タイミングを決めて毎日充電してしまう方が楽。

ぶつける

かなりぶつける。微細な傷がつくことは諦めた。

とはいえiPhoneと同じようにケースとか液晶保護フィルムとかもある。

私は本体の上からすぽっとはめ込むタイプのカバーを買ったけど、カバーのぶん見た目が一回り大きくなるので、Apple製品特有のデザインの洗練度が若干落ちてしまう。悲しい。

 

 

画面の淵までのみを覆うバンパータイプもあるよう。

こちらの方がサイズも大きくならなくていいかも。

 

Suicaはちょっとストレスかも?

Watchは左手に着けているのだけど、改札ってICタッチ部分が右側にあるじゃないですか。

左手を体の前でクロスさせて右側のタッチ部を攻めにいく必要がある。これが地味にストレス。

左利きの人の不便さが少し分かった気がする。

 

総じて

買ってよかった!

 

【読書記録】仕事なんか生きがいにするな

仕事にやりがいを感じられない、自分が本当は何がやりたいのかわからなくなってしまった。

自分が選んだ仕事が本当に自分に向いているのかが分からず、こういうことをいつまでも考えてしまうことがよくある。

そんな私が仕事に行き詰まって落ち込んだときに読んで心が軽くなった本。

 

 
著者は精神科医でありながら、パリの音楽院に留学したこともある珍しい経歴の持ち主。
本題の仕事と生きがいとのかかわりの他にも、現代社会を生きる私たちが抱えている問題についても触れられてる。


消費社会と受動的な人間

筆者はこのことを、アメリカで活躍した精神分析家エーリッヒ・フロムの講演に絡めて考察。以下はフロムの講演の引用。

落ち込んだ人間は、自分が空っぽに感じる。(中略)そこで、何かを摂取すると、からっぽだとか、萎えたとか、弱ったとかいう感じはしばらく消えて、自分はやっぱり人間だ、確かに何かを持っているし、無ではないと知覚する。人は自分の内の空虚を追い払うために物を詰め込む。これが受動的な人間なのである。彼は自分がちっぽけだという不安を持ち、その不安を忘れようとして消費し、消費人となる。

 

分かりすぎる。去年の今頃、コロナ自粛で何をしたらいいか分からず時間を持て余しているように感じてひたすら韓国ドラマを貪り観ていた自分。

愛の不時着と梨泰院クラス面白かったな…。


たとえ積極的に見えるような行為でも、それが空虚さを埋めたいという心理から来ている以上は、「受動」的で、それが消費社会において特徴的な行為なのだそう。




「仕事」と「労働」の違い

  • 人間の熟練や専門化によってなされる活動が「仕事」であり、バラバラな断片に分業化された活動が「労働」。産業革命以来始まった大量生産がこれを助長した。
  • 「仕事」は人間ならではの永続性のある何か、例えば道具や作品のようなものを生み出すが、「労働」は人間が生命や生活の維持のために必要に迫られて行う作業。そこで生み出される産物は、消費される性質のもので、永続性を持たない。



私たちが汗水垂らして必死こいてやっているものは、仕事ではなく労働らしい。

マルクス資本論にも同じようなことが出てくるが、産業革命による作業の機械化・大量生産化によって、生産は分業化し、一人ひとりの作業はそれ単体では意味をなし得ないものになったというわけだ。

さらに恐ろしいことに、消費人たる現代人の私たちは、労働によって生み出された消費財を狂ったように消費する、というある意味完璧なサイクルが出来上がっている。切ない。

 


現代人の「有意義病」

  • 「価値」というものが「お金になる」「知識が増える」「スキルが身につく」「次の仕事への英気を養う」等々、何かの役に立つことに極端に傾斜している。
  • 「意義」という言葉もそういう類の「価値」を生むことにつながるものを指すニュアンスになっている。

これもめちゃくちゃ身に覚えがある。社会人になった頃あたりから、休日だらだら過ごすことへの恐怖を感じるようになった。

仕事にもプラスになるからと資格や語学の勉強をしたり、余暇には仕事の対比として仕事っぽくないレジャー的なことをしなきゃ、という考えに囚われたり。

一見いいことのようにも思えるこういう積み重ねが、実は私たちの自由を蝕む病理だった。

もしかしたらブログを書くという行為も、純粋な楽しさからくるものでないならば、この有意義病の症状の一つなのかも。



「理想の職業」は幻想?

  • 「真の自己」が自分の内ではなく外に想定され、それが既に社会に用意されている「仕事」とのマッチングで実現するという考え方は、人々を終わりなき「自分探し」、「仕事探し」に追い込む。
  • 一個の人間は、ひとつの職業に包摂されるほど小さくはない。 
  • 世の中に用意されている「仕事」の多くは、手応えの少なく断片化された「労働」。



真の自己は仕事とのマッチングで実現するものではないという。バッサリ。 

私たちは、「仕事」に多くを期待しすぎているのかもしれない。

つまり、本当の自分を探すこと、生きる意味を求めることが幸福になるための手段なのだとすれば、それを今日日「労働」に成り下がってしまった「仕事」に求めるのは合理性を欠いている。

本書のタイトルにもなっている「仕事なんか生きがいにするな」の「仕事」とはまさに「労働」としての今日的な「仕事」であり、逆に言うと、本来の意味での「仕事」を労働の中に取り戻そうということも言っている。





では、どうすればいいの?ということについては、以下が具体的な行動指針になりそう。

 

⑴「労働」の中に「仕事」を見出す


たとえ「労働」に従事せざるを得ない場合においても、それをいかに自分が「仕事」と呼べるものに近づけていけるかを工夫してみる。



普段のルーチンワークに自分なりのアイデアとか工夫を乗っけてみるとか。

労働に仕事を見出すのもいいそうだけど、なかなかそれができないことも多いので、労働以外の普段の生活にも、「仕事」と根源を同じくする「遊び」の要素を取り入れるとよいとのこと。

⑵日常に遊びを取り入れる


日常を死んだ時間として過ごすとその退屈さに耐えるために感性が硬直し、ある時素晴らしい非日常的体験をしても感動できない。
日常をいかに工夫して遊び、非日常化するかが大切。
料理、即興の行動、無計画、面倒くさいことをあえてやる、独学などをしてみる。
心の赴くまま気軽にやってみる。人生の暇つぶしとして「遊ぶ」。
心の向くまま気の向くまま、気軽にやってみる。

気が向かなければやらない。

もうちょっと童心に帰るというか、気楽にやったほうがいいのかもしれない。





やりがい、夢、目標。私たちのまわりではこういう言葉が幅をきかせているけど、そもそも労働という枠に収まっているものを目標にしても仕方ない。

仕事は生きがいでなければならない、そんな強迫観念は捨てて、もっと遊ぶべき。